投稿者 : 西山(にしやま)
地域情報ブログ 2016.08.30
国立西洋美術館とル・コルビュジエの世界
近代建築の巨匠「ル・コルビュジエ」の建築物17カ所が
世界遺産登録に決まりました。
厳しい審査のうえ、
上野の「国立西洋美術館」もその一つに選ばれました。
いつもは美術鑑賞で行く美術館ですが、
今回は「ル・コルビュジエ」の建築物として見学してきました。
毎週金曜日は20時30分までオープンしていると聞き、
金曜日の夕方から閉館までゆっくりと楽しんできました。
まず、夕日で少しオレンジに染まった外観を見てから
常設展チケット¥460を購入して入場します。
入ってすぐは近代建築要素の一つ、ピロティのロビーです。
少し進むと建物の中心に美術展示場への入り口があります。
「ル・コルビュジエ」は建物の中心から巻貝のように
外に向かって回廊のように自然に進んでいくという
形で美術館を作っています。
入口を入ると吹き抜けの19世紀ホール(エントランスホール)です。
いつもなら急ぎ足で作品展示場へ行くのですが、
今日は改めてじっくりと眺めてみました。
柱、窓、テラス、どれもバランスが取れて美しいですね。
そのまま緩やかなスロープを上っていくと
いつの間にか展示室に到着です。
優しく展示物を照らすように並ぶ白い連続窓、
違う世界に迷い込んだような錯覚を起こさせる仕切り、
ふっと気分転換させる幅の狭い階段と大窓、
コルビュジエは美術館にふさわしい
このような非現実の空間を創造しただけでなく
美術館が手狭になったら巻貝のように外側をぐるぐると
増築していけるようにも設計していたのです。
時間の先の先を見据えていた建築家と言えるかもしれません。
大感激の建物見学の合間にはしっかりと絵画作品も鑑賞しました。
ピカソ、モネ、クールベ、などなど
どれも素晴らしい作品ばかりです。
国立西洋美術館は戦後フランスに預けられていた私物財産の
松方コレクションを敗戦国の日本が返してもらうために
返還条件の一つとして作られた美術館です。
返してもらう為に、少しでもフランスの印象を良くするため、
日本人の弟子も多かったル・コルビュジエに
美術館の設計を頼んだそうです。
一歩間違えば美術品を没収されていたかもしれません。
この素晴らしい美術品を集めた松方氏のセンス、
そしてこの美術館を建てるために尽力した人々、
すべてに感謝です。
2016年9月19日(月)まで、
この世界遺産登録を記念して「ル・コルビュジエと無限成長美術館」
という催しをやっています。
東京方面に出る機会があればぜひ
美術鑑賞と「ル・コルビュジエ」の世界の両方を
楽しんでみてください。
館内は作品も含め、写真OK(フラッシュ不可)のところが多いです。
こんなところも普通の日本の美術館と違うかもしれませんね。